名古屋市のごみがへった理由とは!?


 あなたは名古屋(なごや)市を知っていますか?
三重県ではなく、おとなりの愛知県の中にある、大きなまちです。ときどきテレビなどでも登場する有名なまちですね。
その名古屋市には、約210万人をこえる人たちが住んでいて、その人たちが出す毎日のごみの量は、平成10年まではどんどんふえつづけていて、そのしょぶんに大変でした。
が、その後は一変してごみの量がへってきました。なぜなのか?
そう。知っている人も多いかもしれません。
名古屋市は“ごみ非常事態(ひじょうじたい)せんげん”をし、その後市民とともにごみをへらすように努力してきたのです。
日本の各地でごみをへらそうとしている中で、実際に大きな成果を出した名古屋市のごみのへったわけを見てみましょう。


 平成11年1月  ごみのうめたて事業のちゅうし

 名古屋市が次のごみのうめたて地として名古屋港の区域(くいき)内(藤前干潟(ふじまえひがた)の中)で予定していた計画をちゅうしすることとしました。この時、市で使っていたうめたて地(愛岐処分場)は、平成13年には満杯になるとよそうされており、その代わりのうめたて地がまだ用意できていなかったのです。


うめたて計画をちゅうししたところ(藤前干潟(ふじまえひがた)の中にあった。)
藤前干潟は、シギ、チドリ類の野鳥がやってくる湿地として、国内でも有数の自然環境です。
 平成11年2月  “ごみ非常事態(ひじょうじたい)せんげん”

 ごみのしょぶんができなくなるというピンチから、名古屋市の松原市長は「2年間で20%、20万トンのごみをへらす」ことを目標にした「ごみ非常事態せんげん」を発表しました。

 平成12年8月  “熱(あつ)い夏”―新しげん収集(しゅうしゅう)のスタート

 その後、あきびんやあきカンの資源収集(しげんしゅうしゅう)の全市拡大(ぜんしかくだい)や、お店や会社のじむしょなどから出されるごみの有料化(ゆうりょうか)など、いろいろなとりくみをすすめ、さらに平成12年8月7日からはプラスチックやかみでできた容器・包装(ようき・ほうそう)をしげんとしてわける、あたらしいしげん収集(しゅうしゅう)がスタートしたのです。
 しかし、おおくの市民がごみの分け方になれていないため、はじめてからしばらくは、かなりこんらんしていたようです。このようすはテレビなどでも全国ニュースであつかわれ、よく見かけましたね。

 平成13年3月  ごみ減量(げんりょう)目標(もくひょう)をたっせい

 平成12年度のごみの量は、ぜんぶで79万トン。平成10年度にくらべて23%へらすことができました。11年の2月にかかげた「20%のごみをへらす」という目標はたっせいされたのです。
 さらに、平成13年度は76万トンで、3年間で約4分の3にへらすことができました。
 また、ごみのうめたて量も平成10年度にくらべて、はんぶんいかの13万トンというけっかになりました。「市民の努力おかげです」との声もきこえます。
 名古屋のとりくみ感心しますね。


ごみ量・しげん回収量の年度別推移

一人一日あたりのごみ量推移グラフ

もっとよく名古屋市のごみ事情を知りたい人はこちらへ

●「ごみのページ」(名古屋市のホームページ)
  http://www.city.nagoya/06kankyozi/gomipanf/
●「名古屋市発 ごみュニケーション」(「捨てる」パビリオン(中日新聞社))
  http://www.chunichi.ne.jp/inpaku/index_f1.html


 行政の声
(『名古屋市第3次一般廃棄物処理基本計画(素案)』の発表にあたって”より一部抜粋)

  • 平成11年2月の「ごみ非常事態宣言」後、市民・事業者の皆様のご理解とご協力、そして地域役員の方々のご尽力によって、困難を乗り切ることができました。・・・皆さまのご協力に御礼を申し上げます。
  • 今後は「ごみ減量」からさらに一歩ふみこんで、「循環型社会」の実現をめざしていかなくてはなりません。
 市民の声
(『名古屋市第3次一般廃棄物処理基本計画(素案)』市民アンケートの結果概要より一部抜粋)

新ルールの評価
  • 全体として効果的な制度か?
    「非常にそう思う」・・・28%
    「ややそう思う」・・・50%
    「どちらとも言えない」・・・16%
    「あまりそう思わない」・・・5%
    「全くそう思わない」・・・1%
  • 市民の環境意識向上に効果があったか?
    「非常にそう思う」・・・30%
    「ややそう思う」・・・51%
    「どちらとも言えない」・・・14%
    「あまりそう思わない」・・・4%
    「全くそう思わない」・・・1%
  • 干潟などを守るのに効果があったか?
    「非常にそう思う」・・・22%
    「ややそう思う」・・・38%
    「どちらとも言えない」・・・30%
    「あまりそう思わない」・・・8%
    「全くそう思わない」・・・2%
  • 処分場の長持ちに効果があったか?
    「非常にそう思う」・・・22%
    「ややそう思う」・・49%
    「どちらとも言えない」・・・22%
    「あまりそう思わない」・・・6%
    「全くそう思わない」・・・1%
  • ルールに従わない人が楽・不公平である
    「非常にそう思う」・・・22%
    「ややそう思う」・・・31%
    「どちらとも言えない」・・・23%
    「あまりそう思わない」・・・17%
    「全くそう思わない」・・・7%
  • 保健委員など一部に負担・不公平である
    「非常にそう思う」・・・15%
    「ややそう思う」・・・36%
    「どちらとも言えない」・・・28%
    「あまりそう思わない」・・・15%
    「全くそう思わない」・・・6%
平成12年8月(新資源回収導入)以来の感想(2項目選択)
  • 市民ばかりでなく、事業者が製造・販売段階から努力すべき・・・61%
  • 最初はとまどったが、慣れてきた・・・48%
  • 不必要な容器や包装の多さに気づくことができた・・・45%
  • 容器包装の分別が難しく苦労している・・・16%
  • 詰め替え容器の利用など生活のスタイルを見直すきっかけに・・・10%
  • その他・・・5%

参考資料
・「名古屋市第3次一般廃棄物処理基本計画素案」
 (平成13年12月 名古屋市環境局)
・「名古屋市第3次一般廃棄物処理基本計画」
 (平成14年5月 名古屋市環境局)
・名古屋市ホームページ
・「捨てる」パビリオンホームページ(中日新聞社)