松くい虫のひがい
(まつ)の木は、わたしたち日本人にとって、なじみのある木です。
 その松が、松くい虫によって、ひがいをうけています。

 松くい虫というのは、マツノザイセンチュウという線虫です。
 マツノザイセンチュウは、北アメリカから入ってきた生物で、形はミミズのようですが、長さが1ミリメートルくらいのとても小さな生物です。松の幹(みき)の中で、水のとおりみちをふさいでしまうため、松の葉(は)がきゅうに赤くなって枯(か)れてしまいます。
 このマツノザイセンチュウを、マツノマダラカミキリ(カミキリムシの1種)という虫が、次々にべつの松の木へはこぶため、松枯れのひがいが広がります。
マツノザイセンチュウ マツノマダラカミキリ マツノマダラカミキリ

 三重県での松くい虫による松枯れは、昭和51(1976)年からふえはじめ、昭和56(1981)年にピークをむかえました。その後はだんだんひがいがへり、平成14(2002)年にはピークのときのおよそ12%にまでへりました。

 しかし、ここ数年は、雨が少なくて気おんが高い日が多く、松枯れのひがいがしんぱいされます。


 とくに、海岸(かいがん)ぞいの木は、雨や気おんのえいきょうをうけやすく、松枯れのよぼうや、松くい虫のくじょ(薬をまいたり、松くい虫のたまごがある木をとりのぞいたりすること。)をおこなっても、まだひがいがふえています。

(伊勢市の海岸松林 平成13年5月)
(左の写真と同じ松林平成13年9月)

 これからまい年、雨が少なかったり、気おんが高かったりする天気がつづくわけではありませんが、少しでも松枯れのひがいがおさまってほしいものです。