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環境基礎講座2025第4回「生物多様性」報告
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【日時】令和7年7月13日(日) 13:45~16:30
【場所】三重県総合文化センター
【演題と講師】
第1講
「三重県レッドデータブック2025の紹介」
加藤 有紀 氏(三重県農林水産部みどり共生推進課)
第2講
「30by30 自然共生サイト『ふるさとの森』の紹介」
坪井 諒介 氏(藤原岳自然科学館)
【参加人数】第1講 43人 第2講 43人
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第1講では、三重県みどり共生推進課の加藤さんから、レッドリストと絶滅のカテゴリー区分や評価基準の説明の後、三重県のレッドリストについての解説がありました。三重県のレッドリスト掲載種数は、10年ごとに大きく増加しています。リストに掲載されている身近な生きものを写真とともに詳しくお話しいただきました。さらに、三重県のツキノワグマの分布や対応についても説明がありました。

レッドリストは、種の保全、生息地、環境を守るツールとして有効です。生物は絶妙で微妙なバランスの中、保たれており、いったん絶滅してしまうと再生は不可能です。私たちの生活に影響が及ぶ可能性もあります。生物多様性とは、単に生きものがたくさんいるという状態が良いというだけでなく、生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性が保たれていることが重要です。環境ラベルや生物多様性について調べるウェブサイトなどもご紹介してくださいました。
第2講では、藤原岳自然科学館の坪井さんから、最初に「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」について説明がありました。「30by30」は、2022年COP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」での国際的な目標のひとつで、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標です。その後、いなべ市の地理を説明され、石灰岩地帯があることによって、国でも希少な、石灰岩を好む植物や昆虫がいることをお話いただきました。そして、「30by30」の目標のもと、国により自然共生サイトとして認定された「ふるさとの森」にある①ロックガーデン、②シデ・モミジ林、③シイ・カシ林、④コナラ林の特徴やそこで見られる植物についてご説明いただきました。
多様な生物によって支えられている生態系は、人間の暮らしに欠かせない存在です。認定を受けた「ふるさとの森」の生物多様性の価値は、「生態系サービスの提供の場であって、在来種を中心とした多様な動植物種からなる健全な生態系が存する場」であり、また「希少な動植物が生息生育している場あるいは生息生育している可能性が高い場」であることです。この他、「ふるさとの森」の日常的な整備活動や広報活動についても、ご紹介いただきました。
質疑応答では、『レッドデータブック2025』の発刊予定や、「自然共生サイトの認定を受けるのは難しいのか?」などの質問があり、専門的な生物調査の下調べなどが必要というご返答を坪井さんからいただきました。今回の講座を機に、生物多様性への理解を深め、生物保全のためできることを模索していっていただけたらと願います。
【報告:大山】