三重県環境学習情報センター

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2024.02.29

スキルアップ講座 「世界遺産『熊野参詣道』~景観保全から文化と自然を考える~」を実施しました

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 【主催】 三重県環境学習情報センター
 【日時】 2024(令和6)年2月24日(土) 9時45分から11時40分
 【場所】 三重県総合博物館 3階 レクチャールーム(津市)
 【講師】 伊藤 文彦 氏[博士(世界遺産学)]
      (イコモス 文化の道国際科学委員会 委員)
 【参加人数】 32人
 【担当】 環境学習推進員 東、脇谷
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 世界遺産リストに「紀伊山地の霊場と参詣道」が文化的景観として登録され、今年(2024年)の7月7日で20年となります。その景観を構成する「熊野参詣道」の豊かな自然は、この地域を生活の場とする人たちに維持管理されてきました。今回は、世界遺産「熊野参詣道」を通して、文化と自然との「持続可能な」関係を知り、自然の良きパートナーとして、我々の生活や文化のあり方を考える機会とするための講座を行いました。

 講師の伊藤さんは、千年以上にわたって積み重ねられてきた人と自然の関係の中で、「熊野」が変化しながら今日まで伝えられてきたこと、そして「熊野」が自然的な存在であると同時に文化的な存在であることを示していただきました。このような「熊野」でみられる自然と文化の関係は、日本における伝統的な自然と文化の関係でもあるそうです。さらに「熊野」がもつ文化的景観には、二つの側面があるとのことです。それは「信仰の山」という文化的景観と、木材資源の利用に代表される「山地利用」という文化的景観です。講師の伊藤さんは、それらの変化の過程を丁寧に読み解くことにより、これまでの人と自然の関係の延長上に、望ましい保存管理の方法を築いて、次世代への継承が実現できると考えています。
 

 
 近代以前、人は長い時間をかけて、周囲の自然環境とかかわり、利用しながら、その地域の文化を創ってきました。自然と文化の歴史を読み解くことは、これからの人と自然との関係を考える手助けになるのではないでしょうか。

【参考】講座のニュース放送へのリンク(外部サイトへ移動します)
 熊野古道を次の世代へ 保全のあり方考える 津市(NHK三重 NEWS WEB)
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【報告:東】

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