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環境基礎講座2025第5回「SDGs」報告
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【日時】令和7年7月26日(土) 13:45~16:30
【場所】三重県総合文化センター
【演題と講師】
第1講
「SDGsとは ~これまでとこれから~」
新海 洋子 氏(一般社団法人SDGsコミュニティ)
第2講
「戸田家のSDGsへの取組み」
宍倉 秀明 氏(株式会社 戸田家)
【参加人数】第1講 36人 第2講 37人
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第1講冒頭で、一般社団法人SDGsコミュニティの新海さんは、日本の海外依存度(食糧やエネルギーなど)を「エコロジカルフットプリント」で説明されました。それによると、世界の人たちが日本の人と同じ暮らしをするとなると、地球が2.9個必要となるそうです。そして、地球の資源をくいつぶすことで環境問題が引き起こされ、お金のない人々はそうした資源を買うこともできず貧困が引き起こされているとお話されました。

「持続可能な開発」という概念は1987年に提唱され、1992年には国連環境開発会議(地球サミット)が開催されました。キーワードは、「循環型社会」「自然共生型社会」「脱炭素社会」で、「経済優先社会」から「持続可能な社会」への変革(トランスフォーメーション)が必要です。17個の目標は、個々別に取り組んでいればいいのではなく、人権問題と地球環境問題を同時解決するアプローチが重要です。

日本の学校教育の現場で、学習指導要領に“持続可能な社会の創り手となる”という言葉が入ったのは前進だと新海さんは語ります。また三重県では「SDGs推進パートナー」制度があり、講座のお話をいただいた時点では、1532者の登録があります。誰ひとりとり残さない企業のSDGsへの取組みについても、幾つかご紹介いただきました。
社会課題の解決をどう促すのか、SDGsの視点で見たらどうか?という「SDGsメガネ」を付けて物事を見てください、とのお話でした。
第2講では、老舗旅館・戸田家の宍倉さんから、長年様々なSDGsへの取り組みを行ってこられた活動をご紹介いただきました。1992年には生ごみ処理機を導入して肥料を作り、その肥料で野菜づくりを行いました。無農薬野菜の提供も行っています。バイキング料理ではごみを減らす工夫もこらしています。県に相談し、2001年には伊勢志摩食品リサイクル研究会が発足し、生ごみ発生量の実態調査が行われました。ゴミの内訳は、魚介類が50%、えび類が20%、残りが野菜というのが鳥羽市の特徴です。戸田家さんでは調理残渣を飼料化、残飯は肥料化しています。天ぷら油を送迎用バスの燃料にしたこともありました。鳥羽市は住民一人当たりの廃棄物の排出量が三重県ワースト1位であり、うち半分をホテル・旅館が排出しています。

地球温暖化防止に向けて、宮川の森林を守る取組に資金をまわす“カーボンオフセット”も行っています。また「きれいな伊勢湾づくり連絡会議」では、海岸漂着物・道路のポイ捨て等定点観察も行っています。旅館は古紙が多いので雑がみ回収をし、トイレットペーパーへのリサイクルも行っています。2019年、旅館として初めてエコマーク認定も受けました。その他、外国人雇用や防災など、活動内容は多岐にわたっています。
質疑応答では、新海さんに「私たちは何をすればいいのか?」、宍倉さんには「運搬の際にはCO2排出があるのでは?」といった質問が出されました。新海さんは、SDGsマークを付けたら終わりではなく、その次のステップを考え、社会の変革を促すよう知識だけでなくアクションが必要である、と締めくくりました。
【報告:大山】